リリーフランキー 「東京タワー」

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

東京タワー ~オカンとボクと、時々、オトン~

遅ればせながら リリーフランキーの「東京タワー」を読了

なにがどうって これほどに誰かが死んだ時のことを
思い出させてくれる本はないだろうと思った。
ひっくるめて・・では無くて、その時、その時の場面がよみがえってくる。
まるで何かの記録のように忠実に、
あぁそうやったね。私もこう思ったねと思う。泣く。
本当の話だと思った。
あまりにもリアルで。

残念ながら 私には「感動」というのは無かった。
というか、もう「感動」という言葉、どうやって使うのかを忘れてしまってるだけかも。

親子関係云々にふれるレビューをよく見かけたけれども・・・
まぁこういう親子が普通だというような感想。
親戚のおじさんに聞いた話というような感想。
それは私が「母と娘」であるからかもしれないけれど。
それだけ、しつこいようだけれどリアル。
そう思えることは幸せなこと。

憧れたり希望をもったりがなく、噛み締めるように読む本。
思い出させてくれる幾つかの事柄は、
私にはまだ辛すぎて、もう一度読みたいと思わせてはくれない。

そうそうこの本に出てくる小倉は、私も以前に住んでいて
「もう閉鎖された動物園」から徒歩10分の所の家だったので
余計にイロイロが現実だったのかも。

貧乏にいやらしさが無い「おかん」に拍手。

本を読んでいる間、猫はずっと私の腹の上に寝そべり
時々、執拗に自分の右足の毛づくろいをする。
怪我でもしてるのかと、前足を手にとってみると
握り締めれるくらいのそれはそれは小さな前足。
・・・・が爪をたてて逃げていった。