「優しい音楽」瀬尾まいこ

優しい音楽

優しい音楽



「優しい音楽」瀬尾まいこ
短編3本入り

私は2つめの話「タイムラグ」が好きでした。

不倫相手の子供を預かる話。
ヒョンなことから不倫相手の子供を、相手が奥さんと旅行中の1泊2日あずかることになった主人公。
大豪遊するはずが、不倫相手の親に会い、奥さんとの仲を取り持ってあげることになります。
最後の吹っ切れかたが素敵。

主人公は奥さんに「負けた」と思ったのかな?
いや、負けたとか勝ったとか本当は無いんだけれどね。

この「負けた」という感覚は私にも覚えがある。
随分と認めたくなかったことだけれど。

旦那君と付き合う時に前の彼女が私の家に乗り込んできたことがある。
その時彼女に
「まもこさんは旦那君を好きですか?」と聞かれた。
黙っている私に、彼女は叫ぶように言った。
「私は好き!旦那君を大好き!大好き!大好き!」

負けた。と思った。
人間として。
旦那君は彼女といるべきだと思った。

でも私は結局旦那君と付き合ったし、彼女はその後、高潔さを失って
復讐の鬼みたいになっちゃったから、いい思い出ではないんだけれど。

まぁそれはともかく
あの時に、自分の好きな人を自分でんかう「この女の人といるべきだ。とキッパリと思えたあの瞬間を思い出した。
私欲だらけだった私には実行できなかったけれど。

あの気持ち もう味わうことはないのだろうな。

それから、私は大好きな人には大好きというように心がけている。
「大好き」という言葉がこんなにも人の心を打つとは思わなかった。
「大好き」というよりも「君のことを考えると眠れないくらいだよ」とか言ったほうが
気持ちは伝わるのだと思っていた。
でも そうじゃなかったんだよね。

頑張って。も心配してる。も「大好き」に含まれている。
大好きの一言だけで、伝えたいことが伝えれるような気がする。
だってそれが一番伝えたいことだから。

あぁ話それちゃった。

3つめの「がらくた効果」も面白かったですよ。