「ぶらんこ乗り」 いしい しんじ

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

絶賛します!
久しぶりに泣いた一冊。

いなくなってしまった「天才少年」と呼ばれた弟のノートを
主人公が読む回想で物語は始まります。
あるキッカケで声を失ってしまった弟。
それ以来ノートに自作の物語を書くようになります。
子供だった主人公の女の子は、その話を笑って読むようになるけれど、
ある日を境に・・また、大人になって感じる弟の伝えたかったこと。

あまりにも何と説明していいのかわからないのだけれど、
弟が作る物語の数々は、どれも涙してしまいます。
ビックリするくらい残酷なのですが、どれもこれも
この世の本当のことを表していると思います。

何1つシンクロできない。
それなのに涙する本なんて初めてかも。

感想が書けないので
表題にもなった有名な一文をのっけます。

「わたしたちはずっと手をにぎってることはできませんのね」
「ぶらんこのりだからな」
だんなさんはからだをしならせながらいった。
「ずっとゆれているのがうんめいさ。
けどどうだい、すこしだけでもこうして」
と手をにぎり、またはなれながら
「おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、ほかでもない、
すてきなこととおもうんだよ。」

児童書・・という説明もありますが、
私は大人にだけ読んでもらいたい童話。