「ほつれとむすぼれ」 田口 ランディー

ほつれとむすぼれ

ほつれとむすぼれ

ランディーさんのエッセイでは これが一番好きかも。
あれもこれも忘れたくない言葉であふれていました。

少しだけ紹介。
万引きした少年を捕まえて、その少年が自殺してしまった本屋さん。
人殺しと陰口を叩く人、本屋さんは店をたたんでしまう。
だけれども、それを聞いて「頑張って」という声が募り、本屋は再開。
今度は「あそこで万引きしても注意されないぞ」という噂がたち、そして実際に本屋さんのご主人は注意できなくて やっぱり店をたたんでしまう・・。

そんなエピソードからの(たぶんな) ランディーさんのコメント。

「店長さんを人殺しと揶揄した人たちにも やっぱり切羽つまったものを感じる。
そんなふうに人に腹を立ててしまうとき、自分にはトゲがあって、トゲってのは自己防衛でもつものだから 自分がしんどいとトゲが太くなる」

あぁ そうかぁと思った。
この話は、長いものに巻かれなければ・・の自己防衛かもしれないけれど、確かに、私がトゲを吐く時は確かに自己防衛が働いているのかもしれない。
触れて欲しくないところに触れて欲しくないから こっそりとクギをさしてみたり、私は違うんだというところを誇示してみたり・・。
私がしんどければしんどい時ほど「だいじょうぶなの?」と訳知り顔で言われたくなくって、最初にビシバシとトゲを飛ばしたりする。
私はサボテンか・・。キタロウか・・。

そしてそれはつまり。

「でも理解するって自分の陣地に相手を引き入れて、整理番号で支配することと似ていますよね」

・・・・・そういうことなのかも。

そう思うと 他人から受けるトゲの受け方も違ってくるかも。
「あぁこの人は痛いんだ」とか、そんな高みから見るとかじゃなくってね、トゲを根にもたないでいられるかなぁって。

そんなことを考えた一冊でした。